グーグル、「AIモード」を米国内向けのGoogle検索に追加

アメリカのIT大手グーグルは、2025年5月21日に開催された開発者向けイベント「Google I/O」において、自社の検索サービスに生成AI技術を本格的に導入する方針を発表しました。
特に注目を集めたのが、新たに導入された「AI Mode(AIモード)」で、これはユーザーの質問を文脈に基づいて深く理解し、より正確で包括的な回答を提供する機能です。

グーグルが「Google 検索を完全に再構築する」というAIモードは、従来のように単語を入力して検索結果を得る形式から脱却し、文章での問いかけに対して、AIが複数のサブトピックに分解して同時に探索を行う「クエリ ファンアウト」技術を活用しています。
さらに、ウェブリンクや追加質問を通じてより深い情報にアクセスすることができる点も特徴です。
たとえば、「高機能でコンパクトな100ドル程度の掃除機を探して」といった複雑な質問にも、写真や価格、販売店のリンクや地図などを含めて最適な商品を提案してくれます。

また、グーグルは2024年から導入している「AI Overview(AIによる概要)」機能も同時に強化。
これは検索結果をAIが簡潔にまとめて提示するもので、米国やインドなどでの導入後、検索利用率が10%以上増加したと報告されています。
特に商業的な検索が増加しており、広告主にとっては新たなビジネスチャンスとなっています。
2025年にはこの機能を米国のデスクトップにも拡大し、さらに今後数か月のうちに米国外の英語圏にも展開を予定しています。

AI技術の導入は広告にも影響を与えており、検索に関連した広告がAIの回答に自然に統合される形で表示される新しい広告モデルがテストされています。
広告は、ユーザーが自然に情報を探している流れの中で表示されるため、従来よりも高い効果が期待されています。

さらにイベントでは、スマートフォンのカメラを使って自転車の修理に必要な部品をAIが提案する実演も行われ、AIが日常生活の中でどのように活用できるかが紹介されました。
これにより、検索という枠を超えた「リアルタイムのAIアシスタント」としての役割も強調されています。

グーグルは現在、世界の検索市場で約90%という圧倒的なシェアを持っていますが、「ChatGPT」をはじめとする対話型AIサービスの急速な普及により、そのシェアの低下が懸念されています。
検索に基づく広告収入は親会社アルファベットの売上の半分以上を占める中核事業であり、今回のAI導入は、競争環境の中で優位性を保つための戦略的な取り組みと位置付けられています。

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