Googleサジェスト汚染、裁判で削除請求は認められない
Googleのサジェスト機能に表示されるネガティブなキーワードに対する削除請求、いわゆる「忘れられる権利」について。
東京都内の男性が米国のグーグル本社などに表示の差し止めなどを求めた訴訟の判決がありました。
最高裁まで争われましたが、結果は男性側の敗訴。検索結果の削除を認めない決定を下しました。
決定理由は、検索サイトであるグーグルの公益性を重視するとのこと。
検索サイト側の表現の自由と表示される側のプライバシー保護を比べ「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」と削除には厳格な要件を求める初の統一判断が示されました。
本記事では、Googleのサジェスト削除に対する訴訟の開始から判決まで、今回の裁判の詳細についてご紹介させていただきます。
Googleサジェスト機能とは
本記事をご紹介する上で、先ず「サジェスト機能」とは何なのか?ということをご説明する必要があります。
サジェストとは、英語でSuggest「提案する」という意味になります。
Googleの検索窓に検索したいキーワードを入力すると、その入力したキーワードに関連するキーワードが自動で縦列に表示されます。
例えば、Googleの検索窓に「いちご」と入力すると、サジェストが「いちご狩り」や「いちご狩り 関東」などのキーワードを自動で表示してくれます。
ユーザーが入力したキーワードから次に検索するであろうキーワードを予測をし表示してくれる為、検索ユーザーは入力する手間が省けスムーズに検索結果に導かれます。
このように、入力したキーワードに関連するキーワードを自動で抽出してくれる機能を「サジェスト機能」といいます。
Googleサジェスト汚染とは
では、「サジェスト汚染」とは、どのようなものなのでしょうか。
例えば、Googleの検索窓に会社名を入力すると、「会社名 住所」や「会社名 採用」など、入力した会社名に関するサジェストキーワードが表示されます。
サジェストに「会社名 住所」や「会社名 採用」などのキーワードが表示されていれば問題ありませんが、「会社名 悪徳」や「会社名 詐欺」などが表示されていることがあります。
このように、会社名や個人名、商品名やサービス名などの固有名詞で検索した際のサジェストに、ネガティブでマイナスなイメージのサジェストが表示されることを「サジェスト汚染」といいます。
Googleサジェスト汚染に対する訴訟
日本では、東京都内の男性が米国のグーグル本社などにサジェストに表示されるキーワードの差し止めなどを求めた訴訟を起こした。
一審の判決(Googleサジェスト汚染は名誉毀損やプライバシー侵害に当たる)
訴訟の内容は、男性が自分の名前をGoogleで検索する際のサジェストに犯罪行為を連想させるキーワードが表示され、名誉を棄損されたというもの。
男性は、サエジェスとに犯罪行為を連想させるキーワードが表示されたことが、就職活動中に内定が取り消されたり、就職ができないことの原因となっていると訴えた。
一審では、男性が勝訴。
グーグルに対し、Googleサジェストの表示停止と慰謝料の賠償が命じられました。
検索サイト「グーグル(Google)」利用者の男性が、自分の名前をGoogleに入力すると、身に覚えのない犯罪行為が表示されるとして、米Googleに表示をやめるように求めて提起していた訴訟で、2013年4月15日、東京地方裁判所において判決が言い渡された。東京地裁は「無関係の単語を閲覧しやすい状況を放置し、男性の社会的評価を低下させた」として名誉棄損やプライバシー侵害に当たると認定。Googleに対して表示の停止と慰謝料30万円の支払いを命じた。
引用元:Google検索の「サジェスト機能」を巡る訴訟でGoogle敗訴:日経XTECH
控訴審判決(Googleサジェストは名誉毀損やプライバシー侵害に当たらない)
一審では男性の訴えが認められ勝訴していましたが、控訴審では訴えが棄却されグーグルが逆転勝訴しました。
大手検索サイト「グーグル」に自分の名前を入力すると犯罪を連想させる単語が自動表示されるとして、男性が米グーグルに表示差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は15日、表示差し止めと30万円の賠償を命じた一審判決を取り消し、男性側逆転敗訴を言い渡した。男性側は最高裁に上告する方針。
引用元:グーグルが逆転勝訴 検索予測の表示差し止め、東京高裁で:日本経済新聞
男性側の弁護士によると、「サジェスト機能により、男性の人格権を害する記事が閲覧しやすくなっている」とし、グーグルによる人格権の侵害は認めました。
しかし、サジェストに表示されたキーワードは、ウェブページの抜粋に過ぎず、それ自体が名誉毀損やプライバシー侵害にあたらないとの結論になりました。
最高裁判決(「忘れられる権利」認めず、検索サイトの公益性を重視)
最高裁まで争われた訴訟でしたが、最高裁でも男性の訴えは棄却。
インターネット検索サイト「グーグル」に表示された犯罪歴削除の仮処分申し立てで、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日までに、検索結果の削除を認めない決定をした。検索サイト側の表現の自由と表示される側のプライバシー保護を比べ、「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」と削除には厳格な要件を求める初の統一判断を示した。
引用元:最高裁、「グーグル」結果削除は公共性を重視:日本経済新聞
特にグーグルについては、通常の検索表示とは別に、検索窓に単語を入力する際に関連する字句を自動で補ってくれる「サジェスト(英語名はオートコンプリート)機能」が問題となりました。今回の決定でその訴訟についてもグーグル側の勝訴が確定したわけですが、
つまり、男性の訴えは、一般ユーザーがインターネット上での情報を収集する上で、サジェストを削除することは情報の公平性を失うということ。
検索サイトの公益性を重要視した判例となりました。
この裁判は、「忘れられる権利」について初の統一判断です。
裁判でGoogleサジェストを削除することは難しい
今回の訴訟に対し最高裁判所が、Googleが提供する検索エンジンについて「ネット上の情報流通の基盤として検索サイトは大きな役割を果たしている」とし、また「検索サイト側の表現の自由」を認めたことから、サジェストの削除を裁判で争い勝訴することは難しくなったと考えられます。
今回の訴訟で、男性は弁護士に依頼していることから、それ相応の費用が発生していることは言うまでもありません。
費用も費やし、長きに渡り裁判で争ったにも関わらず訴えが棄却され、サジェストが削除されなかったという事例が出たことで、今後、同様にグーグルを訴えるという行動を起こすこと自体が減るでしょう。
Googleサジェストを削除する方法は他にもあり、Googleに直接、サジェストの削除申請をするという方法もあります。
関連記事:【サジェスト汚染対策】Googleサジェストの削除申請方法
記事をご覧になっていただければお分かりいただけるかと思いますが、明らかに法律に違反している主旨の申請以外は削除申請が通ることは難しいでしょう。
Googleへのサジェスト削除申請が通らなかった場合は、サジェスト削除の専門業者である私たち「風評ワード解決.com」にご相談ください。
無料でサジェスト汚染の風評状況をリサーチしご報告させていただくサービスもご提供しております。
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